その場で泣き叫び、今にも暴れんとする少女をしんごはぎゅっと己の腕の中に収めた。
「おかえりなさい、おか、えりなさ…おかえりいっ…!!!」
連呼する少女の背中に腕を回し、強く抱きしめる。
「やだ、やだやだやだああああ!!」
それをもう言えないと内心悟ってはいるのだろう。少女はただひたすらに「嫌だ」と拒絶し続ける。
「…お前は……まだ、」
しんごが腕の力を強くし、少女の顔を見据えた。
少年もまた、叫んだ。
以前泣き叫ぶ少女よりも大きな声で、はっきりと。
見失ったものを探す少女に届くように。
「まだ、“ただいま”が言えるだろ!?」


