「お前が帰ってくるまで」 帰ってくる、と。しんごはそんな言葉を選んだ。自分に言い含めるように呟いて、小さく咳き込む。 「俺がお前に“おかえり”を言うまで、だ」 少女は俯きながら、そっと笑った。 「よくわかんない」 少年は上を向いて、にっと笑った。 「俺もわかんねえ」 ねぇ、と。 口を開いたのは少女だった。