「利樹!」 「わかってる!」 原の呼び掛けに、紺野は一気に身体を屈めた。サイレンサーを装備している敵方の銃は近代的であるが、仮にも陸機隊長である原にかかればすぐに判別できる。 「29口径は安全装置を外すのに音が鳴る……よく聞け、」 「…伸吾ちゃん!!」 ビッ、と肉を引きちぎる音が紺野の脳裏を焼いた。間一髪で避けたものの、左肩からは血が吹き出している。 「これじゃ、埒があかないね…」 「………あいつの出番かな」 「え?」 「ルクレール、だよ」