「…第三・第四機、動作許可!」 原伸吾が声を上げる。 機動力を売りとした戦車は、少し色みがかった夜闇色をしていた。 出撃可能な機体は全部で七。 既に特務陸上機動隊の手足、その半分を切っていた。 最後に残った第四機の砲台に足をかけた菅谷が原を見据えた。 「死ぬなよ、伸吾」 「わかってる…菅兄もな」 「たりめーだ、コラ。誰に口きいてんだ」 言葉とは裏腹に優しげに微笑む菅谷が、原に向かってゆっくりと敬礼をしてみせた。 「伸吾…」 無事でな、と。 菅谷は念押しに言い含めた。