【壊像】は、朝方にテロを仕掛けた組織。
それほどに軍事力があるわけでも資金力があるわけでもない。


そんな組織が、まさか『国家』の名を冠したこの《トリカゴ》を日付が変わる前に攻撃するとは……

原伸吾にはそれが理解出来なかった。
こちらが油断していたという理由では、それこそ安直で愚暗だ。






トリカゴに響くサイレンにより、隊員達は各機動にわかれた広場に集合しているはずだ。


安原葵・紺野利樹両隊長は原の後ろを走る。



そうしている間にも、上空からの爆音が耳に飛び込んできた。

「…偵察機だ」


エンジン音を聞き分けた安原の言葉に頷き、3人は4つめの角で道を分けた。