安原が何も言わずに踵を返す。 すばるには、なぜかそれが苦しかった。 どうしてだろう。 その大きな背中に、今すぐ触れてしまいたい。 離れた位置で安原が停止した。 夜空に浮かぶその体躯。 すばるは、何故か沸き上がるそれに向かって行きたい衝動を抑え込んでいた。 自分は、この感情を知らない。