泣き出したサイレンは夜空を引き裂く。 だが、安原葵は微動だにせず、優しい目でただ空を見ていた。 漆黒の闇。 金色の星。 深緑の森。 白銀の戦闘機。 すばるが安原を見上げれば、にっこりと笑って頭を撫でてくれた。 「…やすはら、隊長」 安原は応えなかった。 ただしゃがみこんで、すばるを包む。 「隊長……、隊長っ」 腕の力がぎゅっと強まった。 「怖い…空は、怖いよぉっ…!」