「いきなり何だよ?原隊長」 からからと声を上げるのは陸機隊第3班長・菅谷。古参の実力ある隊員は原より年上だが、原の支えとなる人材だった。 菅谷は今でも時折、兄のような口調で話す。原もまた、愛情と憧憬をこめて『兄』を呼んだ。 「俺ァ大人って奴らが嫌いだけどよ、菅兄」 「知ってる」 静寂の訪れ。 空機隊庫の方からヘリコプターの音が聞こえた。 「菅兄」 「なんだよ」 「俺が知らねぇ間に、俺も大人になってたんだな」 原が自嘲気味に笑った。