「やっとわかったみたいね」 しばらくして、目の前の若き長は小さな声でつぶやいた。 ゆっくりと上げたその視線は確かに安原を捉え、爛々と光る。 「アタシ達がやらなきゃいけないことの意味」 自身を射ぬく視線に、安原は頷いた。御堂は淡々と続ける。 「あたし達にしか、止められない」 安原葵は深く頭を下げる。相変わらず変わらない視線にもう一度だけ会釈し、踵を返した。 「………はい」 後ろを向いたまま、安原が立ち止まった。書類を睨みつけたままの御堂が言う。 「あのコに記憶をあげなさい、安原」