「嬢ちゃん」



ただ泣き声が響く室内に、少し困ったような原の声を確かに聞く。

「……っく、ぅぁぁ」

情けなく漏れる声は、自身にも理解できた。滲む世界の中で原が慌てて駆け寄り、目の前にしゃがむのがわかった。

「嬢ちゃん、」

ほら、と手を広げた原に、小さな仕草で首を横に振る。



「…ぅ……っめ、な…さっ…」


ただ呼吸と同時に声を絞って喉を震わす。嗚咽まじりに聞こえる声を聞き取ろうと、安原と原は耳を済ませた。





「っ……ごめ、ん…なさっ…」










ごめんなさい。


確かにそう、天使は泣き叫んでいた。



「…ご…め、んなさっ…いい…!」