彼女の初めての礼装を褒める暇もなかった。

 儀式は嵐のように終わり午後になっていた。

 父親に抗議をと思ったのだが、王は一番最後にやって来て一番最初に退出した。その後は取り次いでもらえない。

「殿下、終りましたよ」

 乳母の声がして振り返ると礼装ではないが、間に合わせではない印象のドレスに身を包んだ彼女がいた。

 頭には午前の儀式で彼が被せたティアラ。

「よし、行こう」
 彼女の手を取って言った。


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