君の右手




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「疲れたぁ〜」
学校に到着。頑張って走ったけど、バッチリ時間には間に合わなかった。
自分の席に座ると

『お疲れぇ、遅かったじゃん。』

そう言って私に話し掛けて来たのは、同じクラスで私の一番の親友、
沢口綾乃。背が高くてモデル並み。茶色に染めた方までのボブがすごく似合っててどっちかって言うと綺麗なタイプ、しょっちゅう男の子から
告白されてるんだ。

それに、頼りになるお姉さんて感じで、ドジな私をいつも助けてくれる優しい人!


「ん〜、色々あったというか、そぅでも無いよーな」

『何なのよ、教えなさいッ、この綾乃様に隠し事するつもり!?』

私のほっぺをギューッと
つまんできた。
「いっ!痛い痛いっ!隠し事じゃないしッ、ただ、変な人に会っただけッ」

『!?』

ふと、つまんでいた力が緩んだ。

「あ、綾乃?」

『……っょ』

「ぇ、何?」

「何処のどいつよ!私の花柄に変な事したのは、いい度胸じゃない、安心しなさいっ花柄、この綾乃様が絶対取っ捕まえてやるから』

拳をワナワナ震わせて、怒りを露わにしている綾乃様……。