｢侑季！おはよ！｣
｢おはー！あたし昨日は眠れなかったぁ(泣)｣
｢そうなの？寝不足だね(笑)｣
｢うんー。寝不足ー。｣
と会話が続く中、真央が侑季の横を通った。
しかも、挨拶もナシで。
｢真央のバーか｣と聞こえない程度で呟き、学校に向かった。
『ワイワイ』『ガヤガヤ』1年C組はうるさかった。
叫ぶ奴も居れば、自分の席に座って、読書をしている奴も居る。
侑季は自分の席に着き、筆箱を机の上に置き、ほんの少し、隣の男子を見てみる。隣の男子は背が小さい、メガネを掛けた男の子。
勉強が出来そうな顔立ち。その男子の後ろの男の子を見た。その子も小さくて、可愛らしい男の子だった。でもあんまり見ると変に思われ、悪い印象を与えてしまう。侑季は見るのを止め、千智の席に行こうとした。だが千智は居ない。トイレにでも行ったのだろうか。
千智を追ってトイレに行こうと思ったが廊下には邪魔な奴らが居て通れそうにもない。
それにトイレの場所が分からない。
侑季は諦めた。席に着こう。そう思い、席に戻る。さっきの可愛らしい男の子。よし！次のターゲットはあの子！と決めた。
『『ほーら席に着けー』』担任が教室に入って来た。侑季は担任を見た。メガネを掛けた男性教師だ。
先生は何やら、長ったらしい話をしたので、侑季は耳を傾けなかった。
先生の話が終わり、帰りの支度をした。すると突然侑季の隣の男子が、
｢これ･･･。筆箱、落ちた。｣
｢え。あ。ありがと。｣
短い会話だったが心が通じたような気がした。
千智には先に帰ってもらい、侑季は一人で帰った。