「宜しくお願いします」
ありきたりな挨拶で始まった新しい生活。新学期のクラス替えで、自己紹介をさせられるのは何度目か。名前は柊リズム、なにかと真面目だと云われる。
「また一緒かぁ」
隣に座る男は、小学校から何かと一緒になる悪縁の男。気さくで明るい性格で友達は多い。
「それはこっちの台詞だ。何で引っ越してまでも隣になるんだ!」
隣の男は、水沢怜、小学校から大して成長もなく背だけ伸びてきてる。
「何でだろーねー」
棒読みで返答されると更にムカつくな。小学校当時、ご近所さんで一緒に登校してたけど、中学入って水沢は学区内で引っ越した。
「悪縁も程ほどにして欲しいもんだな。」
「俺は別に良いけど?お前、頭良いからテスト時助けて貰えるしさ!」
「誰が助けるって言った?」
「えっ、助けてくれるだろ?」
「自分の事は自分でやれ。人を頼るな、怠け者。」
私がどんなに悪態ついても、水沢はクスクス笑ってる。しまいには、「頼りにしてるからね」なんて言い出す始末。成長の無さにため息が出そうだ。
高校生で幼なじみで隣の席、少女マンガの王道をひた走るような幕開けで生温い高校生活が始まった。