そんな私を助けてくれたのはある少年だった。
4月。
私が19歳の誕生日を
迎える頃、
1ヶ月ぶりに
あの場所へ行った。
涙がまた
出そうな気持ちを
こらえて登った先に
パジャマのような格好を
した少年を見つけた。
この場所は
めったに人が来ない。
なんとなく近づいていくと彼も振り向いてお辞儀をしてくれた。
「いつもここにくるの?」
笑顔の可愛い子だった。
「いつも来てたけど
今日は1ヶ月ぶり」
その少年は
勇気
という名前で16歳だった。
「なんでそんな格好
してるの?
それにここめったに
人来ないのに…」
「病院から抜け出してきたの。窓からずっと見てていつか来てみたかったんだ」
そういえば近くには
小さい病院がある。
「抜け出してきたって
大丈夫なの?」
勇気はうなずいて
「大丈夫」といった。


