今、僕は電話の前に座っている。




既に三十分は座っているだろう…




クラスの連絡網とにらめっこしながらソワソワしている。





早く喜美の声が聞きたい…




でもなかなかかけられない…




風呂から上がった親父が『まだそこで固まってんのか?』と笑いながら僕の背中を軽く蹴る。




親父が風呂に入る前から僕がここにいたからだ。




『早くかけちまえって。遅くなると失礼だぞ』ダイニングでまたビールのプルタブを開けた親父の声が飛んでくる。




電話は居間にしかない。




時計を見ると、八時半を過ぎていた…。




僕は意を決する。