春が来るまで…

十一月。




喜美と僕がいつものベンチで話をしていると、ヒラヒラと白いものが舞い降りてきた。




初雪だった。




喜美と僕は上を向き、冬の訪れを告げる雪を見つめた。




『綺麗…』と呟き僕の方を見た。




喜美は真剣な表情で僕の目を見つめている…。




僕は手袋をした右手で喜美の頬にそっと触れ、喜美の唇に自分の唇をそっと押し当てた。




僕たちのファーストキスだった…。