大地とはいわゆる「腐れ縁」ってヤツで

物心付いた頃には既に、僕たちは一緒に居た。

僕の母親と、大地の母親が仲が良く

森崎家に大地の妹「二葉(ふたば)」が産まれるまでは

毎年、二家族揃って、温泉旅行に出かけていた程だ。

今でも、家の者に了解なく、互いの家を行き来するのは、日常茶飯事だし

学校から帰って来ると、うちのリビングのソファーで

大地ママが寝てるなんて事は、ごくごく当たり前。

そんな母親たちに父親たちは、つくづく振り回されているように思う。

特に大地は、ハイテンションでとにかくパワフルな、おばさん似だ。




「響ー!大ちゃーん!さっさと降りて来て、ご飯食べちゃいなさーい!」

母さんは僕達に1限がある時は、いつも2人分の朝食を作ってくれる。

「はーい!おばさーん!今行きま~す☆」

ホラ、また。調子いい声出しやがって。

「…この、お調子者め」

「ひっひどい!オレが調子いいのは、今に始まった事じゃないだろぉ?それより、きょんは早くシャワーに行きなさい!1限に間に合わなくなるわよっ!」

大地は時々オカマに変身する。

昔からの癖だ。

「オカマ野朗っ!」

「オカマじゃないもんっ!場を和ませてるだけだもんっ!」

「はいはい」

「早く来なさーい!」

「はーい!」

2人は声を合わせて返事を返した。



僕達はこうして、平凡だがなかなか楽しい、そんな日々を送っている。

何だかんだ言って、非社交的なタイプの僕は、大地の明るさに救われている。

「絆」なんて言ったらクサイけど、僕は大地と自分の間に

そんな恥ずかしいモノを感じたりしている。