「…っ」 泣いちゃだめ。 泣いちゃだめだよ。 そう言い聞かせるけど、 やっぱりまだ私は弱い。 涙に負けてしまう。 「直人っ!!!!」 直人は階段で 音楽を聞いていた。 そのせいでまだ 私の声に気づいていない。 「直…」 私は直人の目の前に立った。 直人は一瞬、 目を丸くして、 耳にはめていたイヤホンを取った。 「ど、した」