さちは毎日夜になると言いようのない孤独感に襲われる。
理由はわからない。
ただ、そんな時は嫌なことばかり思い出してしまう。
子供の頃の悲しかった出来事…あの思い出が今の自分をこんな風にしてるんだわって思い込むことで、救われた気分になる。
今時、母子家庭なんて珍しくもなんともない。
ものごころついた時から母親と、「お父さん」と呼ばされていた男の人と三人で暮らしていた。
母親は優しかったが、自分が1番愛されてるとさちは感じたことがなかった。
あきらかに母親は「お父さん」との生活を大切にしていた。
毎夜隣の部屋での情事
お父さんのさいふからお金がなくなった時はさちの引き出しは全て開けられていた。
お母さんに信用されなかった寂しさ
中学生になった時のお父さんの目
その恐怖感

さちの悲しみは毎晩続いていた。

今も…。