『短編』思惑〜オモワク〜

 

聡は自分の携帯電話を黙って見つめていた。


「……聡」


聡は敦子に振り向く。


聡の悲しみに歪むその表情に、敦子は息を飲んだ。


「結衣から、メールが来ていたんだ」


「え?」


聡は黙って敦子に携帯電話を敦子に渡す。


そして、苦しそうに言った。


「……オレが今日、こうして敦子と会うって言った時も、結衣は笑って送り出してくれてたんだ。でも……」


「……」


敦子も同じように、自分の携帯電話を聡に手渡した。



「聡、京香から電話よ。今、聡のマンションにいるそうよ……」