『短編』思惑〜オモワク〜

 

懐かしいぬくもりが敦子を包む。



聡は言う。


「敦子、お前はイイ女だ。オレより敦子に似合う奴がきっといる」


敦子は言う。


「ううん。他の人なんていらない。わたし、待つわ。ずっと待ってる。聡、いつかまたきっと戻ってきて?」


聡は揺れる。


優しさ故に。


そして、


「敦子、オレなんか待つな。早く、幸せになれ」


敦子の体を聡はゆっくり放した。


このまま流されたい、とさえ思う。


でもそれは聡の正義感が赦さない。


そして、そんな聡の気持ちを敦子自身が1番よくわかっていた。


痛いほどに。