結衣は携帯電話を握り締め、メールを開く。


『早く帰って来て』


聡へのメッセージを書こうとして、躊躇した。


昔の恋人の『敦子』なんかに、自分が『心配している』ことを知られたくない。


結衣は少し考えてから、携帯電話のアドレスを探す。


『死にたいくらい辛い』


京香宛てのメールにタイトルを付けた。


「京香さんなら……」


結衣は願いを込めて、ゆっくりとメールを打ち始めた。