結衣は部屋の中で、聡の遅い帰りを待っていた。
今夜『敦子の部屋に置いた荷物を取りに行く』と言った聡。
『何も心配することはない』
優しい聡は言う。
そんな聡の言葉を信じたいと思う。
だけど信じられない自分がいる。
本当に『何もない』と言い切れる?
今、わたしは幸せだ。
幸せだからこそ、ついてくる不安。
この幸せを、愛する人を失うかもしれない不安に、結衣は居てもたってもいられない気持ちになる。
敦子なんて、いなくなればいい。
敦子こそ、苦しむべきだ。
昔、わたしが苦しんだように……。
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