結衣が目を開けたその場所は、病院のベットの上だった。


洗浄されたはずの胃が、やけに重く不快に感じて顔を歪める。


「結衣!!」


愛しい聡が自分の手を握っていた。


「結衣……悪かった。そんなに思いつめるほど辛い思いをさせていたことに気付かないで……オレは……」


「聡さん……ごめんなさい」


結衣が泣きながら言う。


「わたし、辛くて。辛くて……ずっとこのままならいっそのこと……そう思って」


「もう結衣を一人にしない。敦子とは別れた。もう結衣に辛い思いをさせない」


握られた手のひらに力が籠った。


結衣は幸せだった。