山瀬 結衣が睡眠薬を飲んで自殺を図ったのは、聡の心変わりの告白から6ヵ月たった日のことだった。


会社を無断欠勤し連絡の取れない結衣の様子を見るため、同じ総務課の先輩である京香は一人暮らしをしている結衣のアパートに向かった。


ベルを押しても応答は無く、京香は帰ろうと思った。


具合が悪いのかと用意してきたお見舞いをドアノブに掛けようとしたとき、思いがけず扉が開いた。


カギがかかっていなかったことに気付いた京香は、部屋の中を覗き、声をかけてみた。


応答は無い。


--が、奥の部屋にぐったりしている結衣が居た。


京香は慌てて119番をかけた。


結衣は一命を取り留めた。


睡眠薬の量が致死量では無かったのと、発見が早かったのが功を奏した。