「抱いてよ」
精一杯の敦子の強がりも聡にはお見通しで。
まだ愛し合っていた頃と同じように優しく、聡は知り尽くした敦子の体をなぞる。
聡は自分の下でだんだんと素直になっていく敦子をいつも大切そうに抱きしめる。
「好きなの……聡」
「うん……ごめんな、敦子」
今日も敦子の瞳から愛が零れそうになる。
そして、敦子は今日も愛を零さないように瞳を閉じた。
擦り切れるだけの愛なんて、したくない。
このままじゃ、嫌。
このままじゃ、嫌だ。
どうしたら、どうしたら聡は自分だけのものになるのだろう--?
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