「それで、電脳世界に入りたいんだけど…」

「電脳世界…」


 電脳世界と聞いてラオタナの顔が引きつる。


「何か問題でもあるの?」

「入り口のゲートが闇魔法によって塞がれていてなぁ…」

「………!」


 急にガイは驚いた顔になった。…そして、いつもの顔に戻ると、妖しい笑みを浮かべ、こう言った。


「…つまり誰かが故意で僕の邪魔をしているんだね。良いよ。受けて立つ。ソイツをブッ殺してあげるよ。クックックッ…」


 ガイはそう言った後、ラオタナに向き直った。


「一回、電脳世界のゲート入り口を見て来ても良い?」

「別に良いけど…」


 それを聞くと、ガイは笑いの表情を浮かべたまま、部屋の奥へと消えていった。




 ラオタナはガイがいなくなったのを確認すると、ライ達に向き直る。


「…ガイもなんで、あんなに黒くなったんだろうなぁ…。俺が会った時から黒かったが。」


 さらに、ラオタナはキルにこう言った。


「お前気をつけろよ。ガイは呪術を習得した影響で、ウザい女が嫌いになったのさ。それで姉の方もガイに嫌われて…」


「え?あたしウザい!?」


 キルがそう言っていたが、ライは別の事を考えていた。

 もしかしてガイがあんな性格になったのも呪術の影響なのかも…元は普通の子だったのかもしれない…


「あのー…ガイの性格も呪術の影響で…」

「いや、ガイは…」
「人の陰口を話すのはいい加減にしなよ。それに、僕は生まれた時から黒いよ…?」


 背後でガイが笑いながら立っていた。


「ガイ!ごめ…」
「でもウザい女が嫌いという事は事実かな。」


 キルはまた困った顔をしてこう言う。


「えー、あたしウザい?」

「うんウザい。殺意が湧いてくる程に。」


 ガイはそう言うと、ニコリと微笑んだ。

 その笑みは決して純粋とは言い難かった…