機械魔法伝



 これまでの道のりからか、足が痛い。早く船を探してしまおう。ライはそう思いながら船を探す。だが、船はそう簡単に見つかる物ではない。

 キルが遠くの辺りにも探しに行ったが、中々見つからないようだ。

 第一、こんな所に船などある筈がない。


「ガイ…船無いんだけど…」


 すると、ガイは辺りを見回してこう言った。


「おかしいな…。魔法都から取り寄せたんだけど」

「取り寄せた?」


 魔法都から船を取り寄せるなんて不可能だ。


「ライ君が思っている取り寄せるじゃなくて、魔法で船を召喚させておいたんだよ。魔法って誰でも使えるけど便利だね。」


 じゃあ、魔法が使えない俺とキルはどうなるんだ…。ライがそう思っていると、遠くの方で声がした。




「船あったよー!」


 キルが両手を上げてそう言った。キルの近くには5人程が乗れそうな小さな船があった。

 ガイとライはキルの元へと走っていった。




「ほら、これ!あたしスゴいでしょー」


 キルはえっへん!と言わんばかりに両腕を組む。それを見たガイは呆れていた。


「…で、この船に乗るのか」

「そうだよ」


 乗ると言われても、あまりに頼りなさそうな船である。

 ライが乗るのをためらっていると、キルが後ろから背中を強く押した。


「…わっ!いきなり何す…」
「ほらほらガイも乗ってー」


 自分も船に乗り込むと、キルはガイに手招きをした。


「言われなくても乗るよ」


 そう言って最後にガイが船に乗り込んだ。


「嵐風…」


 ガイがそう呟くと、船が急に動き始めた。どうやら魔法で船を動かすようだ。


「魔法都か…」


 ライは旅行気分になりながら、船から見える氷河を眺めた…