集落に入っていくと、何故か集落の住民達は、皆不安と恐怖の表情を浮かべていた。


「君達、とても陰気臭い顔してるね。何かあったの?」


 ガイが近くにいた女性にそう話し掛けた。


「今日はこの集落のお祭りなのよ坊や達…」

「お祭り?じゃあ、なんでテンション低いのよ」


 キルが不思議そうな顔でそう訪ねる。

 すると集落の奥から、この集落の長らしき人物が出てきて、ガイ達にこう言った。


「この集落の祭りでは…あの建物の中にいる神様に生贄を捧げるのじゃ。…毎年若い娘が生贄になるのじゃが、どうにも哀れでなぁ…」


 長が集落の中でもかなり目立つ大きな建物を見ながらそう言った。


「それで困ってるんだね。…僕に出来る事なら何かしてあげようか?」


 ガイはニィっと笑って長老を見た。


「本当ですか!?ありがたやーありがたや…」


 長老はとても嬉しそうな顔をしてガイに抱きついた。


「…抱きつかないでよ。息臭いから…」


 ガイが嫌そうな顔をしているのを見ると、長老はとっさにガイから離れた。


「おお、すみませんな。それで、どんな事を…」

「うん。そうだね…」