無機質な機械音が耳に残った。


するりと、携帯が床に落ちた。


拾えなかった。落ちたことも、気づかなかった。


でも、自分の異変を、感じた。


「まさか……ありえないって」


私は、お兄ちゃん以外の人なんて、好きにならない。


なるわけ、ない。


じゃぁなんでこんなに心臓がうるさいの?


息が苦しいの?


それは……


それは……


「……はぁ」


ため息をついて、この気持ちは、気のせいだということにしよう。


絶対、気のせいだ。


気のせいに決まってる……。