何、言ってんの?


「ゆうちゃん、いきなり何言うのよ……冗談でしょ?」


『冗談なんかじゃない!!』


……びっくりする位大きい声。怒りがこもってる。


『私は、ずっとずっと前から結弥のこと好きだった。でも……結弥は先輩のことが好きだったから、あきらめた。2人はお似合いだったし』


ゆうちゃんが、結弥のことを……。


知らなかった。罪悪感が胸に広がる。


お兄ちゃんを忘れるために、付き合ってるなんて。


やっぱり私って、最低だよね。


『でもやっぱり。やっぱり好きっていう気持ちはおさまらなかった。だからいつも結弥のこと見てた。そしたら、気づいた』


何故かドキリとした。つばを飲み込む。


『結弥が、怯えてるってこと。そして、先輩が本当は結弥のこと好きじゃないってこと』


……全部、本当のこと……。


でも、言い返してた。


「わ、私は……結弥のこと好きよ!!」


言って、ハッとした。


嘘……自分がこんなこと言うなんて、思ってなかった。


『なっ……私はね、あんた以上に結弥のこと好きだからっ!!!』


ゆうちゃんの叫びとともに、電話はいきなり切れた。