【ユナ……】 ふ……っと 頭上から聞きなれた声が降り掛かる。 『えっ……』 私は見えない声に…… 視線を駿介さんに向けた。 『涙だよ……』 駿介さんは 私と視線が合った瞬間に そう言った。 そう、私の名前は ―ユナ― だけども、本名で呼ばれるコトは 今までにあまり無かった。 何時も皆から ―ナァちゃん― と呼ばれていて 本名を知る人も居なかった。 もちろん 駿介さんも……。