とっさに涙の名前を呼んだ。 『兄さんが……何で』 『ただいま』 俊介は私と智子の兄。 だけど、数年前に山で遭難して亡くなったと聞いていたはずだった。 『何で………? 本当に兄さんだよね……??』 私はうわずった声を静めながら 兄さんと思しき相手に聞く。 『ゴメンな。 遭難したのは確かなんだが、その後山奥の家に住んでた 俺と同じ名前で同じ歳の人に助けてもらったんだ。』 兄さんと同じ名前……。