京は額に手を当て、あふれ出てくる涙を止められずにひたすら流し続けていた。

「でも……」

そこで京の話を黙って聞いていた女の子が口を開く。

「でもこれから頑張ればいいんじゃない?」

「え?」

「君はまだ頑張れるよ。たとえ今がとても苦しくても、また自分がおもしろい、楽しいと思えることが見つかると私は思う」

「はは……ははははは」

「え? 何? どうかした?」

「いや……何でもない……」

京は笑いながら、さらにあふれてくる涙を拭って、ブランコから立ち上がった。

「なぁ……」

「なーに? キャッ!」

「ありがとう……」

京は何の戸惑いもなく、その女の子を抱きしめた。

少し時間が経ち、時間は9時を過ぎていた。京はゆっくりと女の子を離す。

「名前……」

「え?」

「君の名前を教えて」

「……優羽。花月優羽」

「俺の名前は如月京。……なぁ、優羽……」

「何?」

「明日もここに来てもいいかな?」

「うん」

「それじゃあお休み」

「お休み」

京はそう言うと、優羽に手を振り、その公園を離れた。

これが優羽と京の運命的な出会いである。