「ここで何してるの?」

その女の子は可愛らしい笑顔で京に話しかける。その美しさに見とれていた京は「はっ!」となって我を取り戻し、その女の子に言葉を返した。

「ちょっと……深い悩みがあってさ……」

「ふーん。悩み?」

「ああ。とても解決できそうにない悩み」

「私が相談に乗ってあげようか?」

その女の子は笑顔を向けながら京の隣のブランコに座り込んだ。

「え? 君が?」

「うん。嫌?」

「いや……嬉しいよ……」

サッカー部を辞めてからここ数日間、笑っていなかった京は久しぶりに笑顔をこぼすことができた。

「実はさ……俺、大好きなことが出来なくなってしまったんだ……」

「大好きなこと?」

「うん。俺にとって生きている上で一番かかせないことだった。それをしている時が一番幸せで、俺にはこれしかないって思ってた。だけど……だけどちょっとしたことがあってね……。その大好きなことを失ってしまったんだ」

頬には自然と涙が流れ、声にも次第に元気がなくなっていく。

「俺はこれからどうすればいいかな? もう……今がとても辛い……」