警戒してみんな離れてしまったのだろう。




誰ひとりとして彼女から目を離さない。




しかし、近付く者もいない。





そんな中、




(ん??もしかして・・・。)



僕はあることに気がついて、彼女に近付いてみた。




『ちょっと・・・
涼君。やめなよ・・・
あぶないよ・・・』




(僕の勘があってれば・・・
たぶん・・・)




周りの視線が痛い。





『そこの若いの! どいてなっ!!』




(えっ??)




声のしたほうを向いてみると
目の前を大きなボストンバッグが
すっ飛んでいくっ!!



『うわっ!!』



必死の思いで僕は身体を後ろに反らし、
なんとかそれをよけると
そのまま飛んでいった方を見た!!




『・・ま・・・じっ??・・・。』




言葉が続かない。




バッグはその女性に激突!!



女性は吹っ飛ばされ
背中から壁にぶつかり、
膝から崩れ気絶している。



腕はといえば・・・




元通りに治っている。



2本とも真っ直ぐにのび
関節の曲がり具合も問題はない!!




ただ・・・・





驚いたのは、
投げられたこのボストンバッグだ。




『これ・・・浮いてるの??』




いつの間にやら、僕の後ろに来ていた怜香が聞いてきた。



そう。



先程まで腕が
ぐにゃぐにゃに曲がっていた辺りで
バッグは浮いていた。



いや・・・

浮いているという表現は正しいのだろうか・・・。



再びバッグもぐにゃぐにゃに曲がり歪みだす。