「アニキ、今日退院になります。

ご足労おかけしました。」



退院の日の朝、俺はリュウジさんに退院報告の電話を入れた。


喜んでもらえると思い、必要以上に声を弾ませる。


しかし電話の向こうから聞こえるリュウジさんの声は思いのほか曇っていた。




「ああそうだよな…

だからナオキとヨウスケを迎えにやらせようと思ったんだがな…

昨日からナオキと連絡が取れねえんだよ。


ヨウスケも知らないって言うし…

お前ナオキの居所とか知らねえよなあ?」



リュウジさんの声は明らかに不機嫌だった。

ナオキは昨日の会合もアニキ達に何も言わずにすっぽかし、行方を眩ましていたのだ。

きっとナオキの事でシュウイチさんに叱咤されたに違いない。