里沙の父親が運転する車は山中に差し掛かった。 助手席には里沙の母親。 そして後部座席に里沙が座った。 車はカーブの多い山道を抜けていく。 山は紅葉で色づき、その木々の隙間から木漏れ日が降り注ぐ。 里沙は窓を半分開けて、山の空気を肺一杯に取り入れた。 窓から入ってくる心地よい風が眠気を誘う。 里沙が虚ろっていたその時だった。