幼いながらに、家が貧乏なのは理解していた。 だから父親や母親には欲しいものがあってもグッと堪えて我慢をしてきた。 里沙の母親は少し考えた後、 「お父さんに相談してみるね」 そう言った。 里沙は父親と母親の事が大好きだった。 モノを買ってもらう事なんて殆どなかったものの、公園に連れて行ってくれたり、時には山に山菜を採りに連れて行ってくれたりした。 そして、何よりも里沙に優しい両親。 お金がなくても、楽しい。 里沙にとって、温かい、理想の家族の姿があった。