カツノリはこの辺りでは、誰しもが知る有名人。


ケンカが強い上に正義感が強い。

チームを解散したのも、その『旗』より一人一人の身の安全を考えての事。

自分自身が引き起こした抗争に関しては、人一倍の責任感を感じていたという。


「じゃあ、なんで総長とカツノリは二人だけ身を隠そうとしたんだ?」

バイクの後ろに跨がるロン毛に聞いた。


「そりゃお前、二人とも守りたいものがあるからだろ?」


「女…か…?」


「ああ、特ににカッちゃんは彼女の事すごく大切にしてたからな。しかも、ごく普通の真面目な子なんだ。

だから余計に巻き込みたくなかったんだよ。」


「ふ~ん…」


優等生の考える事はよく分かんねえな。

守りたいものがあるなら、肌身離さず傍に置いておくのが普通だろ…

俺だったら絶対に離れたりしねえ。



俺達は池袋から少し離れた団地に入っていった。
都会の喧騒を外れ、古い家屋やアパートが建ち並ぶ。