天使への判決


「あ、ああ…そうだな……悪いが先に帰っていてくれないか?」


コンペの事で何か話があるのかな…

廊下を歩いていく専務とピュアリスの社長の後ろ姿を眺めていると、入江君がボソっと私に耳打ちした。


「あの二人、怪しい関係って、もっぱらの噂なんですよ」


そう言って、入江君はニヤッと、悪戯っ子のような笑みを浮かべた。


「ええ〜!?嘘…」


不意打ちのような入江君の話。

思わず上げてしまった大声に、専務とピュアリスの社長が振り返る。


私はその場を取り繕うように、笑顔を振り撒いて軽くお辞儀した。


二人の姿が視界から消えてから、私はこっそり入江君に聞き返す。

「専務って、ゲイなの?」

もちろん、単なる噂でしかないと思う。

本当にそうなら、沖縄での思わせぶりな告白は有り得ない。