衣装を着替えている最中も、いろんな事が頭を巡る。
あの日からずっとこんな調子だ。
私の頭の中は良からぬ想像で埋め尽くされていた。
なぜ、ケンジが脱税の記録を持っているのだろう。
あのファイルをネタに、きっと揺すりをかけているに違いない。
ケンジが言っていた、まとまった金とはこの事かも知れない。
ピュアリスの脱税が公になれば、このコンペも白紙になるのだろうか…
ロケバスのカーテンの隙間から、窓の外を見た。
専務は、Tシャツの袖を捲り、滴る汗をしきりに拭いながら椎名さんと話している。
専務がこの事実を知るとどうなるのだろうか…
いや、ひょっとしたらもう、知っているのかもしれない。
私はロケバスのクーラーで火照った身体を冷やしてから、ワンピースに着替えた。
またあの太陽の下に行かなければならない…
考えただけで億劫になる。
正午が近づき、外はさっきにも増して強い日差しに変わっていた。
「よし!あとワンカットだ!」
自分自身に気合いを入れ、バスから降りようとしたその時、
急に目の前が真っ暗になった。



