「そうですね。だってあのピュアリスのコンペだし、これで力が入っていなかったら、専務からなんて言われるか…」

ユウコは高山の気持ちなんてお構いなしといった具合に、彼女のプレッシャーへ輪をかけていく。

そんなユウコの言葉に、高山の頬が強張っていくのがわかる。

「あら、専務は私の実力を買ってくれているのよ。力なんか入れなくてもいいプレゼンが出来るに決まってるじゃない」


「へえぇ。高山さん程の出来るディレクターともなると、余裕ですね。

私も、朝早くから会議の準備をした甲斐があります」

「そうね、言われた事だけやっているような経理とは訳が違うわ

事務職は下準備に没頭すればいいのよ」


普段寡黙な高山が、大人げなくユウコと言い争うところから察して、おそらくさっきの会話が聞かれてしまったのだろう。


高山は、
フンッと鼻を鳴らし、会議室を後にした。