「なあ、リサ…」
「ん?」
鏡に向き合い、メイクをする私の後ろからケンジがそっと腕を回して来た。
「もうすぐまとまった金が手に入るんだ」
「そう…」
私はメイクを続けながら、ケンジの言葉を受け流そうとした。
「今までお目にかかった事のない大金だ。
この金が入ったら二人で旅行にでも行こうな」
私は鏡越しのケンジに笑顔だけ見せた。
話の内容からして、筋の通ったお金じゃない事ぐらい容易に察しがつく。
私の不安を余所に、
「ヨーロッパはどうだ?
ほら、この前テレビであってた、あの世界遺産とか」
そう言っていつも通り優しく微笑んだ。
鏡の中のケンジは天使か、それとも悪魔か…
ねえ、私はあなたの事を信用していいの?



