「一回だけ。
な?いいだろ?」
喰らいすがるケンジ。
どうして男って、一旦興奮すると収集がつかなくなるんだろう…
この時ばかりはどんな男でも、低能な下等動物に見える。
ケンジも例外ではない。
「しつこいと嫌われるよ」
ダイニングテーブルに向かい、冷えかけたパンにバターを塗り始める私を見ると、ようやく諦めたのか、起き上がり携帯でどこかに電話を掛けている。
「もしもし、リュウジさんですか…?
……ええ、わかってます
…………サツが動く前に始めます
二社とも……時間の問題です」
私は聞いていない振りをしながら聞き耳をたてていた。
ケンジの仕事に関心がないと言うと嘘になる。
仕事の内容がどうこう言う以前に、危ない橋をなるべく渡って欲しくないというのが本音だ。



