電車から降り、ラッシュアワーの隙間を縫いながら、私は店へ向かった。
店の前には配達業者であろう、青い2トン車のトラックが既に停まっている。
「すみませーん!お待たせしました!」
私は配達業者のトラックに小走りで駆け寄った。
「店の中の花を自宅のアパートまで届けてもらえますか?」
背丈ほどあるトラックの高い窓。
その窓越に見えるキツネ色の頭に話し掛けながら、運転席のドアをノックする。
「おう!リサ」
サングラスをかけた強面な顔が窓からひょこっと現れた。
ケンジ…
「な、何でケンジが此処にいるの!?」
「いちゃ悪りぃかよ」
「だって、私が店に来るなんて一言も言ってなかったし…」
「ああ、店長に聞いたんだよ」
ケンジは面倒くさげに短い髪の毛を掻きながら言った。
「これは運送会社の車。
事情を説明して、ベンツと交換したんだよ」
こんな使い古したトラックとベンツを交換…
ケンジの突飛押しのない行動に、目の前がクラクラする。



