ケンジに抱かれながら、彼の身体の傷を指でなぞってみた。

腰の傷の他に腕、胸、脇腹、太もも…

至る所に無数の傷の痕がある。

この傷がケンジの『くだらない』生き様を物語っていた。


病室で何度か聞かされた武勇伝には飽き飽き。

男っていう生き物はどうしてこうも自分の強さを誇張したがるのだろう。


今まで付き合ってきた男の中に、私の錆び付いた心を満足させてくれるような男は一人として居なかった。

ケンジもきっとつまらない男の一人…

私はそう思っていた。



しかし今、どういうことか3度目の絶頂を迎えている。

私はケンジの肩の傷の痕に長い爪を食い込ませえて喘いだ。


「ケンジ……ケンジ!」

何度も彼の名前を叫びながら…