天使への判決



「え〜…

今日、皆にこうして集まってもらったんは、言うまでもないと思う。」

シュウイチさんの低い声に反応して、俺は顔を上げた。


シュウイチさんは頻りに自分の耳たぶを触っている。

言葉を選んで発しているときのシュウイチさんの癖だ。


「え〜っと…

まあ、今日の…今朝の話だが、中山組の朝戸が何者かに殺られてしもうてな…」


広間の中は蚊の羽音が聞こえるのではないかと思うくらい静まり返っていた。

たまにあちこちから聞こえる誰かの咳払いだけが、シュウイチさんの言葉に交じって響き渡る。


「んで…

今日何人かが警察の事情聴取を受けたっちゅう訳や…」


耳たぶを触っていたシュウイチさんは、そのまま指を耳の中に入れて掻き回すと、指についた耳垢をフッと吹いて飛ばした。

警察の事情聴取が気怠かったという事を、言葉のイントネーションと態度で表現しながら、説明を続ける。


その仕草には朝戸の死に対する悲しみとか哀れみは一切感じ取れない。

あくまで他人事だという事を、皆に理解してもらおうとしているようにも捉えられる。