いちごサーガ

電話をかけてきた見知らぬ男は、低くよく通った声で丁寧に話した。
「大森様の携帯電話でよろしかったでしょうか。」
「そうですが。どちら様ですか。」
「申し遅れました。私、いちご王国人事部係長ガゼット・バーダンと申します。先日郵送いたしました資料の件について、ご連絡差し上げました。」
資料?いちごのやつか?あんなのが資料と呼べるのか。。
「失礼ですが、資料とは『あなたをいちご大臣に任命します』ってやつですか?」
「ええ、そうです。本日私の部下があなたの元に伺ったかと思うのですが、お会いされましたでしょうか。」
部下?あぁあの変態いちご女か、と言いたかったがそれは止めた。
「確かにいちご王国の方にはお会いしましたけど。でも、あの件については申し訳ありませんが、了承できません。」
「そうですか…ではこちらにも考えがあります。ええぃ!ミリー!やってしまえぃ!!」
「ちょおま」
男がそう言うと、突然辺りが光って、俺の意識はその光と共に消えてってしまった…。
「うわぁぁ~」

つーつーつー…

「ふふ、逃げよったってそうはいかないのです。てへ」


どうやら俺は通話中後ろから何者かに襲われたらしい。


途切れる意識の中、甘酸っぱいいちごに押しつぶされる夢を見ていた。
とてもとてもでかいいちご達に。

目覚めたら警察でも呼ぼう。もしも目覚めることがあるのなら。


俺は死んだのか?